【前編|セミナー開催レポート】ライフスタイル・ローカルデザインのススメ(宮崎県日向市・北海道上川町のブランディング事例)

 

 

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枻出版社グループによるウェブセミナー「ライフスタイル・ローカルデザインのススメ 〜暮らし方から考える、地域ブランディング事例〜」を、2020年9月9日に開催しました。

働き方改革やコロナ禍による生活様式の変化により、“本当に豊かな暮らし”とは何かを再考する方が増加している中、地域ではどのような取り組みを行えば良いのか模索している自治体も多いのではないのでしょうか。

前編では、ライフスタイルを大切にした地域づくりに取り組む、宮崎県日向市と北海道上川町の事例をダイジェストとしてレポートします。

後編はこちら|ライフスタイル・ローカルデザインのススメ(観光事業者の課題とキーワード・パネルトーク編)

 

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Index

ライフスタイルと地域づくりの可能性について
  • 個人と地域のライフスタイルの合致は、選ばれる地域づくりに繋がる
地域づくり事例① 宮崎県日向市 サーフィン・海で育む地域づくり
  • 「サーフィン・海」にフォーカスした地域づくりの背景
  • リラックス・サーフタウン日向プロモーション「ヒュー!日向」
  • その他、海を中心とした地域づくりの事例
  • 施策の成果
地域づくり事例② 北海道上川町 山岳リゾートという山を中心とした地域づくり
  • 「山岳リゾート」にフォーカスした地域づくりの背景
  • プロジェクト1:週末移住型キャンプ場改修プロジェクト
  • プロジェクト2:大雪山大学プロジェクト 2017〜
  • プロジェクト3:KAMIKAWORKプロジェクト 2019〜
  • 施策の成果
登壇者プロフィール
  • 宮崎県日向市 観光交流課 サーフタウン交流推進係長 東村光教 氏
  • 北海道上川町役場産業経済課 移住定住グループ 三谷航平 氏

 

ライフスタイルと地域づくりの可能性について

 

個人と地域のライフスタイルの合致は、選ばれる地域づくりに繋がる

 

昨今新型コロナウイルスがもたらした「テレワーク推進・外出自粛による移動規制」の2つの変化によって、ライフスタイルと地域づくりの関係性がより密接になっています。

 

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出典:住民基本台帳人口移動報告 2020年(令和2年)7月結果


調査開始の2013年以降はじめて、2020年5月と7月において、東京都からの転出が超過となりました。新しい生活様式の定着により、人々は働く場所にとらわれず通勤から解放され、生活圏がよりコンパクトになっています。公共交通機関に頼らず、自転車や自家用車で移動できるエリアの中でいかに自分の理想のライフスタイルを叶えられるかが転居において重視されるようになってきています。

そのように人々が理想のライフスタイルを重要視しているため、地域づくりにおいてもライフスタイルを明確化する必要があります。個人と地域におけるライフスタイルの一致は、嗜好によって共感する個人が集まり、さらに観光や移住で選ばれる地域づくりへと繋がっていくはずです。

ライフスタイルを軸とした地域活性化プロモーション事例を、以下で紹介します。

 

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地域づくり事例①

宮崎県日向市 サーフィン・海で育む地域づくり


「サーフィン・海」にフォーカスした地域づくりの背景


まずは宮崎県日向市 観光交流課 サーフタウン交流推進係長の東村氏が登壇。サーフィンにフォーカスした地域づくりに至った背景を説明しました。

日向市とは、宮崎県北部に位置し、平均気温が17℃、日照時間が2,000時間という晴天が多く温暖な地域。年間200〜300人が市外へ転出、人口は6万人を下回り、高齢化も課題の一つです。

ライフスタイルの中で「サーフィン」にフォーカスした理由として、東村氏は「日向市にはその気候風土から、全国でも有数のサーフスポットがあります。昔こそサーフィンは限られた若い人のものというイメージでしたが、今はおしゃれで楽しそうといったポジティブなイメージになっています。また、東京オリンピックの正式種目にサーフィンが選ばれたことで、日向市のサーファーたちが自らオリンピック誘致へのアクションを起こしたことが発端になり、町ぐるみでサーフィンを軸にした地域づくりをはじめました」と話しました。

 

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今回オリンピック誘致は叶わなかったものの、そのおかげで町が盛り上がったことで、日本初の「ISA世界ジュニアサーフィン選手権(2017年)」の開催に繋がったそうです。「サーフィン以外の地域資源は内容の説明から入ることが多いのですが、サーフィンは説明なしでも分かりやすい。

潜在的な移住者や観光客に対し、サーフタウンというライフスタイルを訴求することで、まずは日向を知ってもらい、その後で従来の地域資源もPRしていく流れです」とライフスタイルを切り口とした地域活性化プロモーションのステップを語りました。

 

リラックス・サーフタウン日向プロモーション「ヒュー! 日向」


2016年に公開したPR動画第一弾『Net surfer becomes Real surfer』は、ネットサーファーだった青年が「リアルサーファー」へと変貌する成長物語が話題を呼んで、100万回以上の再生回数を記録。ふるさと動画大賞も受賞しました。

第二弾では、第一弾の制作スタッフと現地サーファー師匠が恋に落ちて実際に移住を決意するストーリー(※実話)、第三弾では3人のおじさんがそれぞれの想いを胸にサーフィンにチャレンジする姿、第四弾ではサーフィンに初めて挑戦するおばあちゃんを主人公にしたHOW TO仕立ての内容を展開。

「今までサーフィンに触れてこなかった人も、この動画を通してサーフィンの多様性やサーフィンのあるライフスタイルを知ることができる内容になっています」と紹介しました。

 

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他にも、ヒュー! 日向サーフィンまちづくりシンポジウムの開催、メインキャラクター『ヒューくん』の設定、グッズの販売など、サーフタウンを施策の中心としてさまざまなプロモーションを実施したことを説明しました。

 

その他、海を中心とした地域づくりの事例


先述した「ISA世界ジュニアサーフィン選手権(2017年)」の誘致に引き続き、「WSL QS3000 white buffalo HYUGA PRO(2019年)」という国内最高クラスのサーフィン大会も開催できたことで「日向でも国際的な取り組みができるということを市民の皆様に間近に体感いただき、サーフィンへのイメージも良い方向に向かったのでは」と言及しました。大会に携わった枻出版社 北原も、「海外の選手やスタッフと市民が交流している場面を町の至る所で見られて印象的だった」と当時の様子を語りました。

サーフィン以外にも、海を活用した「日向ビーチスポーツフェス」というトップアスリートからスポーツを学ぶイベントや、日向ビーチアルティメット大会の開催も。海の利用客増加による観光消費施設の建設や、宿泊施設の改築が増加し、ほとんどの施策においてサーフィンや海を中心とした地域づくりを行ってきたと紹介しました。

 

施策の成果


サーフィンを軸にした施策によって、以下の成果を報告しました。

  1. 移住者数が4年で 3倍以上 に増加。観光入込客数、サーフィン等利用者数も増加傾向
  2. 1年間で観光施設等 4軒 、宿泊施設 10軒 など、観光関連施設の民間投資が増加
  3. 2によって、新しい働き方として注目される「ワーケーション」の場所として、新たな分野への可能性も

 

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地域づくり事例②

北海道上川町 山岳リゾートという山を中心とした地域づくり

 

「山岳リゾート」にフォーカスした地域づくりの背景

 

北海道上川町役場産業経済課所属であり、現在枻出版社で長期研修中の三谷氏が登壇。上川町の『山岳リゾート』を中心とした地域づくりに至った背景を説明しました。上川町とは、北海道のほぼ中央に広がる日本最大の山岳自然公園『大雪山国立公園』の北部に位置し、1049k㎡の広大な面積に3,700人が暮らす町。主産業は観光で、大雪山国立公園・層雲峡温泉・氷瀑まつり・日本一早い紅葉などが有名です。

ライフスタイルの中で「山岳リゾート」にフォーカスした理由として、「まず、他の地域との差別化を考え、上川町の象徴である大雪山を訴求軸に据え、資源の高付加価値化を図るべきではないか? と考えました。大雪山が育む豊富な資源を融合した質の高い山岳リゾートタウンを目指し、大雪山から恩恵を受けている自然やグルメ、農産物、アウトドアなど、移住や観光を含めて地域のブランディングを全て大雪山を中心に行いました」と述べました。

 

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プロジェクト1:週末移住型キャンプ場改修プロジェクト

 

町民や道内外の観光客が週末に訪れて「暮らし」や「遊び」が体験できるような新しいキャンプ場の在り方を目指して改修中。

トレンドであるグランピング宿泊施設をはじめ、ハンモックや焚き火などリラックスできるスペースづくり、広大な敷地ならではの、ドローンを活用した遊びなど、ファミリー・カップル・個人それぞれが楽しめる場所を作っていることを報告しました。(2022年 本格稼働開始)

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プロジェクト2:大雪山大学プロジェクト 2017〜

 

「山に学び、山で学ぶ」をコンセプトに、大雪山の麓から山頂までをキャンパスに見立てた、試験も校舎もない市民大学を設立。町外の人に対しては上川を知るきっかけの創出、町内の人には町の魅力再発見に繋がるような、地域を面白くする講座を実施していることを解説しました。

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具体的には特産品やアクティビティ開発、音楽フェスなどさまざまな施策を展開。「中でも、こども旅館という、層雲峡温泉でこどもが仲居になって親を受け入れる講座は、町内外で非常に注目された先行事例の一つ」と反響を語りました。

 

プロジェクト3:KAMIKAWORKプロジェクト 2019〜

 

上川町で働くことを「KAMIKAWORK」としてブランディングし、移住者を集める施策。タグラインに「新しい働き方を、北海道上川町で」を掲げ、イラストレーター・長場雄さんを起用したウェブサイトや冊子など、ツールのビジュアルを作り込んだことを説明しました。

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KAMIKAWORKプロジェクトとは「大雪山の恵みに育まれた環境の中で面白いと思ったことをビジネスにすることで、街を盛り上げ、新しい働き方を生み出すプロジェクトです。アイデア次第で、自分や街をも変えられる」ことがポイントだと説明。

上川町では、地域おこし協力隊のことを「プロデューサー」と呼び、4つの職種に沿って起業できるよう、卒業後3年間をバックアップしているそうです。

 

施策の成果


『山岳リゾート』を中心とした施策によって、以下の成果を報告しました。

  1. 転入数 62名増(平成31年)
  2. 新規開業数 13社
  3. 成果2に伴い、雇用者数 50名以上増

三谷氏は「大都市や中核都市から見ると少ない数字に感じられるかもしれないが、人口3,700人の町としては、目に見える形で成果に表われて表れている部分もあります」と言及し、「現在進行中の施策なので、まだ変わりきれてはいないですが、着実に変わろうとしている途中。町内外からの協力を得ながら、さまざまな施策の展開を頑張っています」と締めくくりました。

 

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後編では、地域のアクティビティ体験といった遊びの予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビュー株式会社 観光戦略部・内田氏によるゲストトーク「Withコロナにおける地域の観光事業者の課題とキーワード」とQ&Aをダイジェストとしてレポートします。

後編はこちら|ライフスタイル・ローカルデザインのススメ(観光事業者の課題とキーワード・パネルトーク編)

 

 

登壇者プロフィール

 

東村 光教

宮崎県日向市 観光交流課 サーフタウン交流推進係長

1996年 東郷町役場入庁。
2006年 日向市と東郷町の合併により日向市職員となり、2020年4月より現職。
2016年12月から展開しているサーフタウン構想「リラックス・サーフタウン日向プロジェクト」を推進すべく、市民・地元サーファー・行政の取りまとめ役を担いながら、プロジェクトの企画・運営を行っている。

 

三谷 航平

北海道上川町役場産業経済課 移住定住グループ
株式会社枻出版社 イベントユニット ディレクター

2012年 上川町役場入庁後、北海道ガーデンショー(2015年)・大雪山大学(2017年~)・KAMIKAWORKプロジェクト・上川町版DMO「大雪山ツアーズ」設立(2018年~)など地域をブランディングするプロジェクトに構想段階から数多く携わる。

 

 

 


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